OpenAI platformで更新されるDBからベクトル検索したい
from p-PP: ChatGPT Agentを作る
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OpenAIのVector Storeは動的に更新できます。ただし、タスク管理ツールのようにデータの追加や変更が頻繁に発生する場合、Vector Storeが常に最適な選択肢とは限りません。
OpenAI Vector Storeでの動的な更新方法
OpenAIのVector Storeは、ファイル単位で情報を追加・削除することで、間接的にデータを更新します。
タスクの追加: 新しいタスク情報をファイル(例: .txtや.json)に書き出し、そのファイルをVector Storeに追加します。
タスクの更新・削除: 更新または削除したいタスクが含まれるファイルをVector Storeから削除し、必要であれば更新後の内容で新しいファイルとして再追加します。
ポイント:
Vector Storeは、データベースのように特定のレコード(タスク)だけを直接更新する機能はありません。ファイルごと入れ替える操作になるため、この点がリアルタイム性が求められるアプリケーションでは少し不便に感じることがあります。
どちらの仕組みを使うべきか? 🤔
タスク管理ツールの要件によって、どちらが適しているかが変わります。
🔵 OpenAI Vector Storeが向いているケース
手軽に始めたい: Assistants APIとシームレスに連携でき、インフラの管理も不要なため、素早く開発を始められます。
更新頻度がそこまで高くない: タスクの追加や変更が1日数回〜数十回程度であれば、ファイル操作でも十分対応可能です。
プロトタイピング: まずはアイデアを形にしたい場合に最適です。
デメリット:
リアルタイム性の限界: ファイルの追加・削除には数秒かかる場合があり、即座に検索結果へ反映されない可能性があります。
柔軟性の低さ: 「このタスクのステータスだけ変更」といった細かい操作が苦手です。
コスト: 頻繁なファイル操作は、API利用料やストレージコストの増加につながる可能性があります。
🟢 別の仕組み(専用のベクトルデータベース)が向いているケース
Pinecone, ChromaDB, Weaviate, PostgreSQLの拡張機能である pgvector といった、専門のベクトルデータベースを利用する方法です。
リアルタイム性が重要: タスクが作成されたら即座に類似タスクを検索させたい場合。
データの更新・削除が頻繁: 1日に何百、何千というタスクが更新されるような活発なツール。
高度な検索をしたい: 「優先度が高いタスクの中から類似のものを検索」といった、タスクの属性(メタデータ)で絞り込んでから検索したい場合。
デメリット:
実装の手間: データベースのセットアップや管理が必要です。
処理の自前実装: テキストをベクトルに変換する処理(OpenAIのEmbeddings APIを利用)と、それをデータベースに保存する処理を自分で書く必要があります。
まずは手軽なOpenAIのVector Storeでプロトタイプを作成してみるのがおすすめです。
実際にツールを使ってみて、もし「更新の反映が遅い」「もっと柔軟な検索がしたい」「コストが気になる」といった課題が出てきたら、その時点でPineconeなどの専用ベクトルデータベースへの移行を検討するのが、効率の良い開発の進め方と言えるでしょう。
検索対象を広げる別の方法
ただし、「Assistantがアクセスできる情報源」という広い意味で捉えれば、Vector Store以外にも方法はあります。それが**Function Calling(関数呼び出し)**です。
🔵 File Search (Vector Store)
役割: 事前にアップロードしたドキュメントやデータの中から、関連情報を探し出す。
ユースケース:
製品マニュアルに基づいたQ&A
社内規定に関する問い合わせ対応
過去のタスクや議事録の参照
🟡 Function Calling
役割: 外部のAPIを叩いたり、データベースに直接クエリを投げたりする機能をAssistantに与える。
ユースケース:
リアルタイムのDB検索: 現在のタスクリストをデータベースから直接取得する。
Web検索: 最新のニュースや情報をWebから取得する。
外部サービス連携: Googleカレンダーに予定を登録したり、Slackに通知を送ったりする。
まとめ
あなたのタスク管理ツール開発においては、以下のように使い分けるのが一般的です。
「過去の類似タスクを参考にしたい」
→ 完了したタスクの情報をファイル化し、Vector Storeに入れてFile Searchで検索する。
「"今日"が締め切りのタスクを教えて」
→ リアルタイムのタスクDBを直接検索する関数を用意し、Function Callingで呼び出す。